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副業は魔法少女ッ!

第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷


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 大学が春休みに入る頃、街のショーウィンドウやメディアを彩るモデル達は、春の装いを取り入れていた。

 ゆいかとなずなが魔法少女になって、もうじき十ヶ月が経つ。

 買い物やカフェへ出かける時は、ゆいかとなずなだけが誘い合わせるのが常だったところ、今日は明珠となつるにも声をかけて、事務所から十数分離れた商店街で落ち合った。


「いつも有り難うございます。なずなさんですと、やっぱりうさ耳のイメージです。ただ、こちらのヒヨコのフードの付いた方は今年初めて出たもので、珍しいです。イースターらしくて可愛いですよ。後悔のないよう、是非ご試着お申しつけ下さい」


 行きつけのAngelic Prettyの店舗で、顔馴染みの店員が、二着のフードパーカーを交互に見て唸るなずなの向かい側で、愛想良く目を細めていた。
 なつるはこうした店が初めてらしい。真剣に葛藤するなずなに親身な相槌を打つ店員に負けじと、何を着ても似合うだとか、いっそ貴女がウサギやヒヨコだとか、彼女を褒めちぎっている。

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