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そして愛へ 「改訂版」

第1章 そして愛へ 「改訂版」

 「はじめてセックスをしたとき、気持ちよくないと心配
  していたのにね」
 「ほんとだ。あのとき、進さんの言葉を信じてよかっ
  た」
 「セックスの気持ちよさは、ほかのものでは味わえない
  気持ちよさだからね」
 「そうだね」
 「その気持ちよさを味わいたいのは、ごくあたりまえだ
  よ」
 「恥ずかしがらなくてもいいんですね」
 「もちろんだよ。そんな気持ちよさを味わえるあそこ
  を、誇っていいんだよ。でもスピーカーで、みんなに
  発表しなくてもいいからね」
 「うふふ。そんなことしないわ。進さんだけが知ってく
  れていればいいの。
  でも嬉しい。気持ちよくなれるのも嬉しいけど、そう
  言ってくれる進さんの優しさが嬉しい。
  でもね、わたしね、進さんにしてもらうセックスは好
  きになりましたけど、進さんが好きですと、まだはっ
  きりとは言えないの。ごめんなさい」
 「うん。それでいいよ」
 「ほんとにごめんなさい。
  でもね、きっとわたしは、進さんを好きですと言える
  ようになると思っています。わたしが、まだ好きと言
  えないのは、進さんを優しいなと思う気持ちと、好き
  という気持ちの違いがわからないの。
  進さんに好きと言ったら、なにか変わるのかしら。進
  さんは、ずっとわたしに優しくしてくれていますのに
  ね。
  それでね、あのね、いま思うと、はじめてセックスを
  してもらってから何ヶ月も、進さんはイッてなかった
  んでしょう。わたしを、気持ちよくしてくれるだけだ
  ったんですよね。
  わたしが、セックスのことをあまり知らなかったとは
  いえ、わたし、進さんに、甘えるだけだったんです
  ね。
  進さんは、はじめからずっと、セックスでもほんとに
  優しくしてくれていたんだなと思って、それも嬉しい
  の」
 「私は、かおりさんが、愛してと言ってもいいかと聞い
  てくれたのが、嬉しいよ」

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