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嵐びーえる。

第16章 番外編③ 真実のその後で

渡海side


小さく頭を下げ、仮眠室へと駆けていく世良。


振り返って、遠ざかっていく背中を見つめた。






渡「じゃあな」






無条件に俺を信じ、無邪気に、素直に自分の感情をさらけ出し、意気揚々と走り去っていった世良。

最後の最後までそんな彼を騙すのだと思うと、胸が痛む。



けれど、世良の傷つき、悲しむ表情と対峙することは、俺にはできなかった。



逃げかもしれないが、あんな日の当たっている奴を、俺のような闇に、染めさせるわけにはいかない。




渡「お前はいい医者になれ」





届くわけのない言葉が、シンと静まり返った医局に溶け、吸い込まれていく。








ゆっくりと、病院を後にした。




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