
刑事とJK
第44章 船上の殺人事件2
「オレは治療室で藤野たちに、拾った銃を見せた。
けど、あの時治療室にいたメンバーはこのことは誰にも言ってねぇ。
つまりだ…
藤野が銃で撃たれたことを知ってんのは、オレと江口と真理子と藤野、そして撃った犯人本人しかいねぇってことだ」
「確かにそうかもしれませんが…
物的証拠が…ないじゃないですか…?」
すると、藤野は犯行に使われた銃を取り出した
「これ、外国製のものだな。
貿易会社のあんたのとこなら、手に入れるのも容易だろう」
「それなら、父さんだって…」
「俺の見たところ、この銃はサイレントではあるが、発砲に伴う煙は出る。
あんたの服からは煙硝反応が出るんじゃないか?」
藤野はパーティー会場にいたときに、江口の体に赤いレーザーのようなものが当たっていることに気付いたため、江口を助けることが出来たのだった
「っ……」
神谷は返す言葉も無くなった
「洋平…」
神谷の父親は続けた
「お前が…やったのか…?」
「僕は…やってない、僕はやってないんだ…
犯人は戸松しか…いないじゃないか…」
「松井殺しの時間帯、つまりオレらがパーティー会場まで社長たちを呼びに行ってる間、戸松はオレらとずっと一緒にいた
だからアリバイがある」
神谷は口を震わせた
「そんな馬鹿なことあるはずがない!!
戸松はダンスが終わってから、外へ出てはいない!!
だからアリバイなんてない!!」
「んじゃあ聞くが、一度も部屋から出ていないはずのあんたが、何で戸松の行動を知っているんだ?」
「あっ…」
「しかも、今自分で言ったな、戸松は部屋から出ていないって。
せっかく戸松を犯人に仕立てようと思ったのに、自分で戸松の無実を証明してどうすんだよ?」
「……」
「神谷…」
戸松は神谷を見た
