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この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

「そうだったんだ……」

なんとなく分かっていたけれど、はっきり言われると、胸が痛くなる。

「あっ、いや!その続きがあって……」

そう言った先生は、何気に私の手を握った。


「だから、芽衣と一緒にいるようになって、楽しかった分、何やってんだよって。何、高校生にペース乱されてるんだよって。いつも思ってた。」

「先生が?私のペースに、乱されてたの?」

「うん。」

あんな冷静に見えたのに。

嬉しくて、泣けてくる。


「もう、そう思った時点で、俺自身、芽衣に溺れてたのかもな。」

「先生……」

「だから、芽衣を幸せにする為に一度離れて、ちゃんとしようって、決めたんだ。あの時、ちゃんと話さなくて、すまない。」

その言葉を聞いた途端、堪らなくなって、先生の首にぶら下がるように、抱きついた。

「有り難う、芽衣。こんな不甲斐ない俺を許してくれて。」

「ううん。許すも許さないもないよ。私、ずっとこの日を待ってたんだから。」

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