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この夏、君に溺れた

第6章 夢の終わり

「おっはよう、芽依。」

「おはよう、美羽ちゃん。」

窓際の列、前から3番目。

いつも美羽ちゃんが、私の為に取ってくれた席。

「あ〜あ。この席取るのも、今日で終わりか。で。なんで芽依はこの席がよかったの?」

「なんでかな。終わってみると、他の席でもよかったかも。」

「なにそれ〜」

はははっと笑いながら、私は外を眺めた。

窓際の席は、外を通る人がよく見えた。


もしかしてスーパーやコンビニに買い物に来た先生を、この席から発見できるかなと、思っていた。

実際は私が塾に行ってる午前中。

先生は寝ているか、小説を書いているかのどっちかで、結局この窓際から先生を発見することは、できなかったけれど。


「夏休みも今日でお仕舞いか。あっと言う間。勉強漬けの毎日だったな。芽依は?」

「私は……」

頭の中に浮かんだのは、先生と過ごした毎日。

変なの。

たった2週間だけなのに。

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