
仔犬のすてっぷ
第36章 36章 これから先は・・・
翌日……
初々しい三人を紹介し、店員全員が……特に女性店員達がきゃいきゃい騒ぐ中、早めに出勤してきた店長が今までの経緯を大雑把に説明した。
それにより、今度は主任を含む男性店員達がざわつき始める。
そりゃあ、そうだろう。
ドラマみたいな出来事や展開があったあと、今度はいきなりの一時店員編入だからなぁ。
そして。
「なんだよぉ…そんな面白い状況に、なんで俺達を加えなかったんだよぉ〜」
「あ〜…俺も久しぶりに大暴れしたかったなぁ〜」
「次は仲間外れにするんじゃねえぞぉ?」
…と、まあ、内容を知らない血気盛んな連中は好き勝手騒ぐ一方で
「アキラ君はどんな女の子が好みなの?」
「砂漠の国の王子様…ス・テ・キ♡」
「他の男の子達もいたんでしょ?今度紹介してよ〜」
…と、新顔二人は女性陣から熱い歓迎を受けていた。
「…俺も一応新入りなんだけどな〜…」
ぽつんと浮いた状態の蒼空がボヤく隣に、淡海ちゃんがすす〜っと近づくと軽く彼の肩を叩く。
「君はすでにみんなに知れ渡っているからね〜。君が優君とがただならぬ間柄なのもとっくの昔に知ってるんだもん。
君に声をかけるチャレンジャーは少なくともうちの店舗にはいないと思うよ?」
「…って、優希ぃ〜…俺というものがありながら、あんな男に靡いちまうなんて…」
「考え直せ優希っ!俺の方がお前を幸せに出来るっ!」
「ココの男共はあんなんばっかだしさ」
「ほんっとに馬鹿ばっかし」
「なんだ…優希、お前女性よりヤローに人気があるじゃねーか…元々そっちの毛があったんじゃねえの?」
僕の前に集まった男性社員を見て、蒼空が頭をぼりぼりっと掻きながら僕に話しかけてくる。
「違うよっ!この人達はいつもこうして僕をからかって楽しんでるだけなんだから…」
「そんなことないぞ、優希っ!」
「俺は少なくとも本気で……」
「ほらほら、そんくらいにしておかないとそろそろ彼が怒り出すわよ?」
淡海ちゃんが茶化すように蒼空を指差すと、面白くなさそうな顔をした彼は苦笑いした。
