
仔犬のすてっぷ
第18章 来訪者たち
(は、はぅわぁ〜?!…そ、蒼空ぁ〜〜?!)
迷いの無いそのひと言に、僕の顔が熱くなる。
「……初めて出逢った時は正直疲弊してて、少し錯乱もしてたからな……キッチンでメシ作ってる奴が、オトコだなんてその時は考えもしなかった。
単純に、そこにいた恩人が、直球ストライクな顔をしてて・・・一目惚れしちまった。
俺は元々女好きで、遊びで何人もの奴と付き合った。行き過ぎてオーナーに叱られるのも日常茶飯事だったし・・・
だから、一目惚れなんて初めての亊でさ。
ましてや、オトコかもしれないって相手に、だぜ?
まあ、仕事で野郎の相手をする事はあっても、それは“仕事”だから、で。
別に男にゃ興味は無かったよ。
だけど、優希に出逢っちまった。
男か女か判んねえ奴なのに、ずっと頭から離れなくてよ・・・カリームに相談したりもした。
・・・けどよ、俺はバカだからすぐに性別なんてどうでも良くなったんだよな。
男か女か、関係なく欲しいと思ったのは、優希が初めてなんだぜ?」
「・・・蒼空ぁ…」
な、なにも、よりによって…奈緒ちゃんの真ん前で、カミングアウトしなくても……(焦っ!)
「わ、私だって・・・」
組んでいる奈緒ちゃんの腕に、ぎゅむっ!と力が入った。
・・・へ?!
ま、まさか……
ここにきて、奈緒ちゃんまでカミングアウトする気なんじゃ・・・・・(大汗っ)
「女の子以外で…男の子で初めて好きになったの、優くんが初めてだったんだからぁっ!!」
