
仔犬のすてっぷ
第17章 予期せぬ来客
奈緒ちゃんは…
今どきにしては飾りっ気の少ない、僕が安心して話せる数少ない女友達だった。
初めは専門学校の、ボーリングゼミでくじ引きでペアになったのがきっかけで……。
お互いが引っ込み思案なところ、会話は生まれなかったんだけど、その日は調子が良かったらしく、スコアが210を超えて。
奈緒ちゃんだっていつもはそんなにスコアは良く無かったらしいんだけど…その日はスコアが180を超えて。
トータル390の得点で3位になり
「な…なんか……凄くない?3位だって?」
「そ、そうだね…こんな事、僕も初めてだよ」
こんなことがきっかけで話すようになって、お互いが趣味や好みなど色々似ている事が解って。
映画や絵画展、買い物へ一緒に行くようになり。
名古屋港水族館へ行った時、
「・・・ねえ、優くん…あ、ごめんなさい。その・・・これからは優くんって、呼んでいい?」
「え?う、うん…別にいいよ」
「ねえ…優くん……私ね?
あなたとお付き合いしたいな・・・って思っているの」
「え…?」
いきなり・・・
まさか、彼女の方からそんな話をしてくるなんて・・・正直思っていなかった。
専門学校に入る前に…つまり高校三年生の時、付き合ってすぐに身体の関係を求められ、不能状態で……
正直に、受け身体質の話をしても、相手に気持ち悪がられて振られてしまった事があった。
そういう事は考えないように、避けるようにしてきた僕にとって・・・それは・・・。
「・・・奈緒ちゃん。僕は普通の男の人とは少し違うかもしれないんだ。だから・・・」
「私…普通の男のヒト、ダメなの。
今まで何人かの男のヒトに『付き合って』って迫られた事があったけど・・・どうしても怖くなっちゃって。
だけど、優くんは・・・そういうの、感じ無くって。
だから………一度、正式にお付き合いしてみたいって思って……」
ま、まあ…男としては、がっつく様なものが無いのは確かだけど・・・
つまりそれって、言い方を変えれば男らしくないって事では?(汗)
