仔犬のすてっぷ
第11章 最初の、すてっぷ
「君に、僕の何が解るってんだ!」
「ウジウジしてる奴の事なんて分かんねえよ!」
ジリジリと歩み寄る蒼空の迫力に圧倒されて、僕はゆっくり後退り……。
「何ウジウジしてんだか知らねぇが、忘れちまえ、そんなもん!」
「そんな簡単に言うなっ!
忘れられる訳無いだろっ!こうやって、ずっと……ずっと疵になって残ってて…消えないんだぞっ!!」
悔しいのか、悲しいのか、指摘されているのが恥ずかしいのか……
自分でも解らない涙が溢れ出す。
「この、この疵のせいで、僕は・・・」
「そんなもん、関係ねえんだよ!俺には…」
ついに、逃げ場が無くなり、僕は壁際に追いやられてしまった。
そんな僕を、蒼空が両手を壁について覆いかぶさるようにして覗き込む。
「僕は、ぼくは・・・」
「前にも言っただろ?!俺はっ!!」
蒼空の、真剣に瞳の、その奥を見つめるような視線に魅入られて、僕は言葉を失ってしまった。
まだ何か言いたいのに、上手く出てこない。
「……俺は、オマエが欲しいんだ!」
そう言うと、蒼空は僕の唇に唇を重ねて来た。
「!!ぅ……う〜〜〜ぅ、ぅ…んっ・・・」
じたばた藻掻き、逃げようとする僕の体を、力強い両手ががっちり掴んで離さない。
「んふぅ〜…ふぅうぅ〜………」
荒い息遣いの蒼空の鼻息が、僕の顔にかかってくる。
さらに藻掻いているうちに、蒼空の舌が僕の口の中に入って来て、強引に僕の舌に絡みつき・・・
僕の身体から、力が抜けていく・・・
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