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先輩!彼氏にしてください!

第8章 危険人物




「…………私である必要、ないですよね」


「何が?」


「だから……『彼女になって』とかそういう事言ってますけど、それって私である必要あるのかなって」


「いや、ほのかじゃなきゃダメだよ」



あまりの早さで新先輩が返事するので、ウッと言葉を詰まらせる。


でも……


正直こういう言葉はもっともっと早く聞きたかった。


どうして今なんだろう。


彼女と別れたから?


だとしたら、やっぱり、いいように扱われているような気がしてならない。



「やっぱ、なんだかんだ言って、ホマレの事が好き?」


「は? いや、それはほんとないです。あの子は変態で、だけど頭が良くて天才で、でもやっぱ変態で変人なイケメンですから」


「……………それって貶してんの?褒めてんの?」



苦笑しながらそう言った先輩は、そのまま私のアゴをくぃと持ち上げる。


途端に一年前キスした光景がフラッシュバックして…さらに…



「結構、妬けるんだけど?」


「────────……」



唇が近づけば近づくほど、今度は谷川くんの泣きそうな顔が頭に浮かぶ。


いや、なんでこんな時まで谷川くんのこと考えてんの。



「新先輩っ……あのっ」



両手で先輩の胸を抑えて、間一髪でキスを回避したのと生徒会室の扉が勢いよく開いたのは同時だった。



音にびっくりして一瞬体をすくませた私はそのまま扉の方を見る。



すると、走ってきたのか、息を切らせた谷川くんがこちらを見て大きく目を見開いていた。


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