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無人島行ってみた話

第3章 昼飯

だが、安藤もせっかく集めてきたのにと、意地になり「そんなん見た目でわかりませんやん。けっこう美味いかもしれませんやん」と集めた貝を、熱い一斗缶の上に広げる。

すると真由美さん、「待って、自分が食べる分だけにしとき。あと食べられへんかったら捨てるだけになるやろ。それやったら、命の無駄やんか。残った貝とかカニは逃がしたり」

安藤は素直に、「はい」と言ったあと、僕の耳元で「あのババア、鬱陶しいなぁ」て、真由美さんの方が正しいと思うが。

結局、貝は弾力が強く、固いゴムのようで、食べた安藤は苦戦していた。

ちゃんと下処理をして、圧力鍋で煮たりして、炊き込みご飯にしたら食べられるようだが、そこまでサバイバルでは出来ない。

海藻も、茹でたら緑色になったが、固い。筋の多い植物噛んでるみたい。はい、試しに食べてみました。

沢ガニと山菜の味噌汁と、マツバ貝のしょうゆ焼きがお昼ごはん。

味噌汁がまた、沢ガニの出汁がきいて美味かった。味噌が無かったら、海水を入れたただの塩汁で食っていただろう。

マツバ貝も好評。満腹まではいかないが、満足出来るお昼ごはんだった。

桂木さんが、「真由美さん、クモ食うたって聞いたけど、どんな味すんの?」と一番気になったことを聞いた。

真由美さんは、「女郎蜘蛛? タランチュラ? アシダカグモ? 私が食べたことあるんは、この3つやわ」

滅多にすることがなかったドン引きを、この時、改めて感じる。

「え、みんな味が違うんですか?」と僕が聞くと、当たり前よ、なにを言ってるのみたいな顔で、「女郎蜘蛛は比較的、苦めのチョコレートか、甘いコーヒーみたいな感じかな。アシダカグモは、下手したらゴキブリの風味がする。おすすめはタランチュラかな。卵を持ってるやつなら当たり」

て、我々にとっては、すべてハズレだ。

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