
優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第12章 ふたりの憧れ
わたしは思い出してしまっていた。
倒れたあの日ーー始業式の日のことを。
樫木くんの顔が頭を横切って、はっとする。
「まっ……て……」
ぱっと目を開けて、春ちゃんのことを見た。
優の手は全く止まっていない。現実に引き戻されると、また気持ちよさに落ちていく。
「ほーら、咲。そろそろ気持ちいいのに集中して」
春ちゃんが言うと、優が、やさしくこねていた手を少し早くする。
「っはぁ、あっあっ……んっん……はぁ、」
気持ちよさが強くなればなるほど、意識を失いそうになった。
その度に、はっきりと樫木くんの横顔が目に浮かぶ。いまはその横顔を思い出したくなくて、喘ぎながら呟いていた。
「なん……で……んぁっん、ん」
ーー綺麗な瞳が頭の中にはっきりとよぎった時、その瞳に、この状況を見られているような気がしてしまう。つぶっていた目をしっかりと開けた。
……開けないと、樫木くんを思い出しておかしくなってしまいそうだった。
恥ずかしさが一段と増す。
「っはっ、はぁっ、んあっ」
しっかりと開けた目から、苦しくなって涙がこぼれ落ちる。
わたしの様子を見ていた春ちゃんの表情が、一瞬だけ鋭いものになる。何かを見抜くような目をしていたので、思わず目を逸らしてしまった。
倒れたあの日ーー始業式の日のことを。
樫木くんの顔が頭を横切って、はっとする。
「まっ……て……」
ぱっと目を開けて、春ちゃんのことを見た。
優の手は全く止まっていない。現実に引き戻されると、また気持ちよさに落ちていく。
「ほーら、咲。そろそろ気持ちいいのに集中して」
春ちゃんが言うと、優が、やさしくこねていた手を少し早くする。
「っはぁ、あっあっ……んっん……はぁ、」
気持ちよさが強くなればなるほど、意識を失いそうになった。
その度に、はっきりと樫木くんの横顔が目に浮かぶ。いまはその横顔を思い出したくなくて、喘ぎながら呟いていた。
「なん……で……んぁっん、ん」
ーー綺麗な瞳が頭の中にはっきりとよぎった時、その瞳に、この状況を見られているような気がしてしまう。つぶっていた目をしっかりと開けた。
……開けないと、樫木くんを思い出しておかしくなってしまいそうだった。
恥ずかしさが一段と増す。
「っはっ、はぁっ、んあっ」
しっかりと開けた目から、苦しくなって涙がこぼれ落ちる。
わたしの様子を見ていた春ちゃんの表情が、一瞬だけ鋭いものになる。何かを見抜くような目をしていたので、思わず目を逸らしてしまった。
