
誓いのガーランド
第9章 花冠の代わりに 2
「花冠は、知ってるかい?」
ジョセフのセリフを、角村の声でなぞる。
言い出しっぺは花実だったが、少し照れ笑いをしながら頷く。
こんなことにも真剣に付き合ってくれる角村が優しくて、嬉しくてくすぐったい。
角村は思ったより、ジョセフになりきっているようだった。
あの、漫画のような繊細な表情で、優しくしっかりと花実を見つめる。
角村は、セリフを続ける。
「動物たちの間では、これで誓いをたてるんだ」
角村が両手でネクタイの輪っかを差し出す。
決して派手な色とは言えないネクタイ。
そこについたネクタイピンが、キラリと光った。
