
ドSな兄と暮らしています
第6章 汐夏の挑戦
8
体調を崩して完全に復活するまでは、兄ちゃんの徹底した管理の元に食事や睡眠を定められた。
しばらく、料理担当は兄ちゃんが持って、
23時を過ぎると、決まって声をかけてくる。
「汐夏、何時だと思ってんの。早く寝なよ」
23時過ぎると、勉強ができない。そうすると、早く寝て早く起きて、勉強の時間を確保するしかない。
私の生活リズムは完全に朝方になった。
信じられないことに、寝坊も遅刻もない。
あれだけ寝坊と切り離せない運命だったのに、ものすごい改心ぶりだ。
これによって、兄ちゃんの説教もぐっと減った。
兄ちゃんは私が遅刻しなくなっても、おにぎりを渡す習慣を辞めなかった。
家を出る前の玄関で、
「もう、兄ちゃん、私遅刻しないよ」
と笑ってみせると、ぶっきらぼうに、
「いいから持っていきな。食いしん坊なんだから」
と持たせてくれる。食いしん坊は余計だけれど。
ちょっと嬉しそうな、寂しそうな笑顔を見せて、持たせてくれる。
ーーなんとなく、わかっている。
兄ちゃんは、何度も何度もこうやって、毎朝私を見送ってくれた。
この毎日も、高校を卒業したら、一旦区切りがついて、慌ただしくも楽しかった朝は、思い出になってしまう。
毎日おにぎりを持たせていた妹も、少しは手がかからなくなる。
それは多分、兄ちゃんにとって寂しいことなんだと思う。
だから、毎朝必ず、断ることなく持って行って、昼休みにおにぎりを食べている。
高校を卒業する前に、きちんと兄ちゃんに感謝の気持ちを伝えなくちゃとも思っている。
兄ちゃんは、確実に私を育ててくれた人の一人でもあるからだ。
受験に精一杯になりながら、受験が終わったら何ができるのか、考えていた。
体調を崩して完全に復活するまでは、兄ちゃんの徹底した管理の元に食事や睡眠を定められた。
しばらく、料理担当は兄ちゃんが持って、
23時を過ぎると、決まって声をかけてくる。
「汐夏、何時だと思ってんの。早く寝なよ」
23時過ぎると、勉強ができない。そうすると、早く寝て早く起きて、勉強の時間を確保するしかない。
私の生活リズムは完全に朝方になった。
信じられないことに、寝坊も遅刻もない。
あれだけ寝坊と切り離せない運命だったのに、ものすごい改心ぶりだ。
これによって、兄ちゃんの説教もぐっと減った。
兄ちゃんは私が遅刻しなくなっても、おにぎりを渡す習慣を辞めなかった。
家を出る前の玄関で、
「もう、兄ちゃん、私遅刻しないよ」
と笑ってみせると、ぶっきらぼうに、
「いいから持っていきな。食いしん坊なんだから」
と持たせてくれる。食いしん坊は余計だけれど。
ちょっと嬉しそうな、寂しそうな笑顔を見せて、持たせてくれる。
ーーなんとなく、わかっている。
兄ちゃんは、何度も何度もこうやって、毎朝私を見送ってくれた。
この毎日も、高校を卒業したら、一旦区切りがついて、慌ただしくも楽しかった朝は、思い出になってしまう。
毎日おにぎりを持たせていた妹も、少しは手がかからなくなる。
それは多分、兄ちゃんにとって寂しいことなんだと思う。
だから、毎朝必ず、断ることなく持って行って、昼休みにおにぎりを食べている。
高校を卒業する前に、きちんと兄ちゃんに感謝の気持ちを伝えなくちゃとも思っている。
兄ちゃんは、確実に私を育ててくれた人の一人でもあるからだ。
受験に精一杯になりながら、受験が終わったら何ができるのか、考えていた。
