ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第67章 鉄剤注射
いっ……たぃ………
声には出さないけど、ほんと痛い。
薬剤が腕に入っていく感覚もわかる。
あぁ…お願い…早く終わって……
「今日は外暑いね〜。梅雨はいつ明けるかな。」
看護師さんの優しい声が聞こえてくるけど、聞こえてくるだけ。
もうやだ…長いよ……
あと何分…?何秒……?
「腕は痺れてない?大丈夫かな?あと半分くらいだからね。」
あと半分……、も…。
「栗花落さん、大丈夫?」
ゆっくりじわじわと、あの黒い薬剤が血管に入るのを感じて…
「ハァ……ハァ……」
いや、きっと想像してしまってるだけなのに…
「ハァ……ハァ……」
怖くて、苦しくなってきちゃった…
「ハァ…ハァ…ハァハァ……」
「栗花落さん?…栗花落さん、気分悪い?」
ダメだ、過呼吸みたいになってる。
早く落ち着かなきゃ。
深呼吸、深呼吸……
って、もう無理だ。
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