
りさと3人のDoctors
第76章 医者の卵
こうして家に帰ってきたりさは、若干しょぼんとしたままリビングに行くと、仕事が休みの蓮がいた。
「あれ?りさどうしたの?」
「…にぃに。」
どうしたの?なんて言いつつ、蓮は蒼と豪から連絡があったので、事情は全部知っていた。
「おいで。」
とソファーに座る蓮に言われ、隣に腰掛ける。
「研修医って大変だよね。大学でめちゃくちゃ勉強してきて、国家試験も受かったのにさ、これまで身につけた知識も技術もなんの役にも立たないくらい通用しない。」
「え?」
「そうじゃないの?」
「そう、思ってたけど…。どうして。」
「こんな時に突然発作が出ちゃうなんて、きっとりさは悩んで、精神的にも体力的にも疲れたんだろうなと思ってさ。」
さすが蓮。
いくつになっても、りさのことがよくわかる。
「にぃには、いつまでもにぃにだね。ありがとう。」
「まだまだ研修の先は長いよ?再来週からは産婦人科だしね。りさがどんなもんか楽しみにしてるよ!」
「ちょっと!そんなプレッシャーかけないでよ…。」
「ははっ。まぁまぁ、気難しく考えないで。研修医なんて誰もが通る道だから、自分に合った科目見つけるために頑張りなね。」
「うん。にぃに、ありがとう。」
