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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

数十年前の携帯電話のため、充電が完了しても、あっという間に、電池が切れてしまう。これでは漠間博士に、止め方を問うことが出来ない。

こうなれば、自分でどうにかするしかない。

クリーーーンは、どういうつもりで動いているのか?

なぜ、お面男の良夫に詰め寄っているのか?

三島くんは、まず電源ボタンを探すよりも、その答えが知りたかった。

良夫は、足下と後ろを気にしながら、少しずつ下がっていく。

後、数メートルも移動すれば、次の駅まで行ってしまう。

「ああぁーっ、もうイライラする」

我慢の限界がきたのか、良夫は、クリーーーンのノズルの方の腕の先を、ほうきの柄で叩きつけた。

パカーンという音が響き、ノズルが外れ、腕はただの可動するホースとなってしまった。

三島くんは、慌てて駆け寄り、落ちたノズルを拾う。

「ま、待ってくださいよ……壊すことないじゃないですか」

「もう、どこまで後ろ向きに歩かせる気だ! こいつ、歩いてくる間に落ちてるゴミ、何一つ拾ってないやないかぃ! なにがゴミ清掃ロボットやねん。叩き壊すぞ! いいな!」

「いや、ちょっと、ちょっと待って、それは理由があってのことで……」

「なんか知らんが、こいつは俺の方に向かって無言で寄ってきよるんや! ずっとこんなん引き連れとったら、迷惑でしゃあない」

良夫は再び、ほうきを真上からクリーーーンに叩きつける。

金属を叩く音と同時に、なにかが割れるような音がした。

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