テキストサイズ

子犬、拾いました!

第1章 拾った

何? この子犬みたいな人…。

コケたから余計にびしょ濡れになった。


「えーと、すみません」

額に泥を付けて、謝っている。

呆気にとられて見ていると、彼は私に会釈をしてから歩き出した。


「待って!」


思わず彼の腕を掴んで引き止めた。

「そんなに濡れて帰ったら風邪引きます。私の家あそこだから、タオル貸してあげます。少し寄って行って下さい」

「え、でも…」

「いきなり見ず知らずの人の家、嫌かもしれませんが、転ばせてしまったのは私が驚かせたせいでもありますから…」


話しながら、彼を傘に入れる。


「すみません。では、玄関までお邪魔させてもらいます」


びしょ濡れの髪に、額には泥を付けて、例えるならヘニャっとした笑顔の彼は、やはり子犬のようだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ