
❇️片暉の残照❇️
第20章 母のバラ
いつもよりも時間をかけて植物園に向かう――――…
が、植物園に近づくにつれて…景色が一変していく…。
美しく整備された道には瓦礫が散乱し、焦げた匂いや煙が時折目や鼻を刺激する。
「お母さん……」
「テイス様…?」
私は震える手を膝の上に乗せ……到着を待つ。
すると、馬車がゆっくりと止まり…私は顔を上げた。
「申し訳ございません…これ以上は近づけないみたいです」
馭者が植物園より大分手前で馬車を止めると頭を下げた。
「わかった――――。テイス様、外の様子を見て参りますのでここでお待ちください」
キロが馬車を出ると、警備をしていた兵士に話を聞いていた。
「植物園……大丈夫よね?」
馬車から覗く外は…異様な雰囲気で不安ばかりが募る。
