❇️片暉の残照❇️
第2章 ハジロ公爵邸
しかも、浴室内にはバラの香りが満ちておりそこにいるだけでバラに全身を包まれる。
私は生まれて始めて…バラの湯船に入った。
シャワーまでついているここの浴室に私は驚かされるばかりだった。
シャワーの前に立つと…私は目の前の鏡に自分の顔を映す…。
一応、左目を覆っていた眼帯は浴室の外に服と一緒に置いてあり、鏡には本来の自分の姿がそこにはあった。
「――――やっぱり…この目は気持ち悪いわよね?」
私は鏡に映る自分の左目をそっと見る――――…。
そこには、誰にも言っていない…私の秘密があった。
――――オッドアイ。
そう、私の左目は…ケガなどで隠しているのではなく…
右目と違う色だから――――…隠しているのだ。
右目は母と同じ緑色だが、遺伝の関係で少し薄い緑色――――…。
しかし、左は髪の毛と同じ――――濃い金色。
金髪で黄金の瞳――――…
母は私の目が金色だと分かると…隠すように言った。
私は、右目と違うから隠した方がいいのだろうと納得し…家から出るときは包帯か眼帯をしていた。
実質、今まで出会った人の中に両目の色が異なる人はいなかった…。
隠していて正解なのだと…気づかされた。
そして、長年隠している生活していた弊害か――――…左目は光に弱く、隠さないと眩しくて外は歩けない。
その代わり、夜には強く暗い時は逆に左目が役に立った。
――――いつ見ても不気味な瞳だわ…。
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