
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「フォビス殿、これだけ軍隊が大きいと、ほんの少しのことで混乱に陥ってしまう。それを避けるためには、安全な場所に本陣を置かなければならない。どこに本陣を置くのがいいだろうか。アウィーコートの地理に詳しいフォビス殿の意見をうかがいたい」
「そうですね。アウィーコートが軍隊を出せるのは城下街のみ。だから城下街を包囲してしまえば、ほかの場所から出撃してくることはないでしょう。伏兵に襲撃される恐れのない、見晴らしの良い場所に置くのがいいかと思います」
「そうかな。相手も、こっちが大軍で攻めてくることを知っているはずだ。伏兵ではなとも、狙撃や火攻めなどの奇襲をしてくる恐れもある。それを踏まえた上で、あらためて本陣を置く場所を提案していただきたいのだが・・・・・・」
「なるほど、それは考えられますね。では――」
フォビスはしばらく考えてから、ふたたび口を開きました。
「――城より西側は森になっているのですが、その中へひっそりと本陣を置くとしましょう。それで、城から辛うじて見える場所に偽物の本陣を置いて、相手を騙してみましょう」
「いい策をうかがった。ではそのようにしよう」
アビナモスは頷きました。実は、今フォビスが言ったことくらいは、アビナモスも考えていました。それをあえて相談して、フォビスに言わせたのです。なぜなら、もしその作戦で失敗しても、アビナモスは責任を逃れられる上、その責任をフォビスに押し付けることが出来るからです。そうすれば、邪魔なフォビスを、立派な名目をつけて始末することができます。それでいて、成功したのなら、アウィーコートを征服できるのです。
アビナモスにとっては、一石三鳥の手だったのです。
――この戦いに勝利すれば、俺の人気もあがるだろう。これまで日の目を見ない人生だったが、これで挽回してみせる。
アビナモスは、馬に揺られながら、轡をぎゅっと握りしめました。
「そうですね。アウィーコートが軍隊を出せるのは城下街のみ。だから城下街を包囲してしまえば、ほかの場所から出撃してくることはないでしょう。伏兵に襲撃される恐れのない、見晴らしの良い場所に置くのがいいかと思います」
「そうかな。相手も、こっちが大軍で攻めてくることを知っているはずだ。伏兵ではなとも、狙撃や火攻めなどの奇襲をしてくる恐れもある。それを踏まえた上で、あらためて本陣を置く場所を提案していただきたいのだが・・・・・・」
「なるほど、それは考えられますね。では――」
フォビスはしばらく考えてから、ふたたび口を開きました。
「――城より西側は森になっているのですが、その中へひっそりと本陣を置くとしましょう。それで、城から辛うじて見える場所に偽物の本陣を置いて、相手を騙してみましょう」
「いい策をうかがった。ではそのようにしよう」
アビナモスは頷きました。実は、今フォビスが言ったことくらいは、アビナモスも考えていました。それをあえて相談して、フォビスに言わせたのです。なぜなら、もしその作戦で失敗しても、アビナモスは責任を逃れられる上、その責任をフォビスに押し付けることが出来るからです。そうすれば、邪魔なフォビスを、立派な名目をつけて始末することができます。それでいて、成功したのなら、アウィーコートを征服できるのです。
アビナモスにとっては、一石三鳥の手だったのです。
――この戦いに勝利すれば、俺の人気もあがるだろう。これまで日の目を見ない人生だったが、これで挽回してみせる。
アビナモスは、馬に揺られながら、轡をぎゅっと握りしめました。
