邪恋の爪痕と片恋の彼
第5章 残りカスの薫り
「まぁ、上は上で――――更に上に言われてる可能性はたかいよな?
そんなにゲンナリするな……さて、俺は御船さんの所に行ってくる!Web頑張れよ」
そう言うと、境井さんは俺を置いて…一人で御船さんの所に向かった。
――――そういえば…
明日だ…
新婚旅行のハワイから、
野田先輩が……帰ってくる日…。
あっという間…に、野田先輩がいない日々が過ぎた。
って言っても…たかが一週間…。
連休が終わり仕事が始まってから…
一度も境井さんの部屋には行っていない。
成り行きで――――…
俺に抱かれた境井さん――――――――…
「好きです、付き合ってください」
と、告白はしたものの……、
彼からは何の反応もない――――…。
几帳面なあの人だ…仕事とプライベートはキッチリ分けているのか、
連休明けは仕事で頭をいっぱいにしているみたいだった。
それでも――――…毎朝のデスクチェックは…視線が自然にその場をとらえてしまうらしく…
一瞬、瞳が曇る――――。
辛いなら…見なきゃいいのに…
習慣は…恐ろしい。
さて、明日戻ってくる野田先輩に――――…境井さんはどう…心を掻き乱されるのか…。
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