
邪恋の爪痕と片恋の彼
第10章 手料理と自覚
「い、今はさすがに…食べられる…だろ?」
「ええ――――…もちろん!持つべきものは料理のうまい彼氏でしたね」
――――料理の…上手い…彼氏?
「――――マルコか……イタリア人め」
俺はトマトを睨み…ため息をついた。
「?――――プッ!アハハハ、イタリア人って!
彼はイタリア人じゃないですよ!“マルコ”じゃなくて…“丸子”丸い子供の子で“丸子”さん!」
――――は?“丸子”…って、日本人?!
「ややこしい!」
俺は呆れた顔で真壁を見た。
すると、真壁はツボに入ったのかケラケラと笑い続けている。
「――――今度、一緒にお店に行きますか?」
「は?…も…元カレの店に行くのか?気まずくないのかよ」
俺は、サラッと誘われて動揺した。
「は?今はセフレの関係ですし料理だって美味しいから…定期的に行ってましたけど…」
――――は?定期的に…行っていた?こ…こいつ……俺に“好き”とか言っておいて……。
