
邪恋の爪痕と片恋の彼
第9章 波
「ここで…生活…してたのか?本当に…」
俺は部屋を見渡し――――…ため息をつく。
野田先輩との繋がりがなくなったとたんに…この有り様…。
「――――どんだけ初恋…こじらせてるんですか…」
カーテンが唯一の生活感…とも言えるこの部屋に…俺は寂しさを感じた。
こんな場所で…生活していたら――――…“生きる”と言うことに…執着しなくなってしまう…。
「あの日の…貴方はどこへ行ってしまったんだ…」
俺はスマホの充電器だけをもって部屋を出た。
出る際、視界の端にダサいペアグラスとペンダントが見えたが…俺は無視することにした。
