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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「だめだなぁ……私」

 どうして自分はこんなに臆病なんだろうと、自分で自分が嫌になる。
 今まで明るく振る舞おうと頑張ってきたのに、ナツミを見ていると、いかに自分が無理をしていたのかがわかってしまった。

「私はあんなふうに笑えないよ……」

 これは嫉妬だ。自分の中にある、どす黒いもの。ナツミがみんなと話してるのを見ると嫉妬してしまう。ナツミが現れなければ、あの場所は自分のものだったかもしれない。クロードだって、ナツミがいなければ自分だけを見ていてくれたかもしれないのに……。
 
 なぜこのタイミングなのか、なぜ自分はここにいるのか、どこで選択を間違えてしまったのか……そう思ってしまう自分に嫌気がさす。大して努力もしてないくせに人のことを羨ましがるなんて、これでは生前と何も変わっていない。
 世界が変わっても、自分が変わらなければ意味がないのに……。

 ───コツッ

 ふとドアから物音がした。
 しかもボソボソと話し声がする。

「……ちょっとレシピェール、押しすぎだべっ!」
「んもぅ、アタシじゃないわよぉ、アバレセーラーのおっぱいがっ……」
「ちょっとナツコ!? そんなに押さないでよ~!」
「うわあああっ!!」

 いきなりメキユたちが部屋に転がり込んできた。


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