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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第2章 聞こえちゃう

志桜さんは冷たい目であたしを見たまま動かない。



あたしはそっと彼から離れる。



そして洗面所の扉を開けると急いで外へ逃げ出した。



彼は追いかけてこなかった。



途中で三坂さんとぶつかり、彼に肩を押さえられた。



「優依さま、どうかされましたか?」



「あ、三坂さん…」



「顔が赤いですが、熱でもあるのですか?」



それを聞いて顔が燃え上がるほど熱くなった。



「ち、違います。平気です」



「具合がよくない日は無理して学校へ行く必要はありませんよ」



それを聞いてギクリとする。



学校へ行かなければ、あたしの逃げ場はない。



「だ、大丈夫です。学校、行ってきます」



あたしはそう言って三坂さんを振り切って玄関まで走った。



このお屋敷は広すぎる。



逃げようと思っても、簡単には逃げられない。



早く、学校へ行きたい。



晃くんに会いたい。




晃くん!






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