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はるのかぜ

第5章 友は待っているか?

ハルが塾を辞めることになり、数ヵ月経った頃、卓造は手術を終え、無事退院することとなりました。しかし、退院したからといって、ひと安心ではありません。引き続き、定期的な通院生活が待っており、弥生やハルは付き添いを余儀なくされていました。

ある日曜日、弥生が卓造の様子を見に行った帰りのことでした。帰りがけにスーパーに寄った弥生は、ハルの学校の良き相談相手になっている前田先生先生と出会いました。1年の頃、前田先生はハルの副担任の先生でしたが、ハルが信頼を寄せている先生であったため、弥生も前田先生のことはよく知っていました。

「前田先生!」

「あぁ、ハルのお母さんですね。」

「ハルがいつもお世話になってるようで、ありがとうございます。」

「いいえ、こちらこそ。お父さんの容態いかがですか?ハルからおじいちゃんが入院したって聞いてたもんで。」

「あら、そんな話まで。お陰様で先日、退院しました。まだ、定期的な通院は必要ですけど。」

「それはよかったですね。お母さんも無理されないように気をつけてください。」

「ありがとうございます。先生、ハルは私のこと何か言ってませんでした?」

「えっ?」

「実はここ数ヵ月、ハルとはろくに口を利いてないんです。父のことで、私が塾を辞めさせたもんで。」

「あぁ、確かに塾を辞めたって言ってましたね。」

「やっぱり。」

「なんか、お友達がいらっしゃったそうですね。何も言えずにお別れになったのが辛かったんじゃないですかね。」

前田先生からの話を聞き、弥生はハルがいかに辛い思いをしているのかを悟りました。

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