
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第8章 そんな君が大好きです
「ひぃくん、ひぃくん! あれ取ってー!」
私はひぃくんの腕をグイグイと引っ張ると、射的の出店を指差した。
コロンと丸い小さなひよこのクッション。
凄く可愛くて一目惚れしてしまった。
さっきまでひぃくんに怒ったりドキドキしたりしていたくせに、会場についた途端にはしゃぎまくる私。
……自分でもどうかと思う。
「どれが欲しいの?」
「あの丸いひよこっ!」
「うん、わかったー」
そう言ってニッコリと微笑むひぃくん。
銃を構えるひぃくんの横顔は、なんだか凄く真剣でドキッとする。
ーーーパンッ
銃声が聞こえた次の瞬間、ひぃくんは私を見てフニャッと笑った。
「取れたよー」
「……えっ?!」
ひぃくんに見惚れていた私は、その声に慌てて景品棚を見る。
コロンと下に転がるひよこ。
ひぃくんは一発で取ってしまったのだ。
「ーーはい、お嬢ちゃん」
ニッコリ微笑むおじさんからひよこを受け取ると、ひぃくんを見上げて口を開いた。
「ありがとう、ひぃくん!」
満面の笑みでお礼を告げる私を見たひぃくんは、ニッコリ微笑むと「可愛いー」と言って優しく頭を撫でてくれる。
「ーー花音」
突然呼ばれた声に振り返ると、そこには彩奈とお兄ちゃんの姿が。
手には焼きそばとりんご飴が握られている。
実は私のパシリでりんご飴を買いに行っていたお兄ちゃん。
「りんご飴っ!」
目を輝かせた私は、そのままお兄ちゃんに向かって走り出した。
わーい!
りんご飴っ!
最早りんご飴しか目に入っていない私。
目の前の石に気付かず、そのまま石につまづいてしまった。
ーーー!!
倒れるっ!
そう思った瞬間、ガシッと肩を掴まれる。
「急に走るなよ……」
呆れた顔をするお兄ちゃん。
どうやらお兄ちゃんに助けられたらしい。
「……まるで子供ね」
お兄ちゃんの横で、彩奈が呆れた様な顔をする。
