
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第6章 君はやっぱり凄く変
そんな私を見兼ねたのか、ひぃくんは勝手に私の手を取るとそのままプールへと連れて行く。
ハッと意識の戻った私は、足にブレーキをかけると口を開いた。
「入らないよ!? こんなのプールじゃないし!」
青ざめた顔で必死に主張する。
「プールだよ? はい、バンザーイ」
笑顔でそう言うと、私の着ている服を脱がそうとするひぃくん。
「いやぁーー! やめてーー!ひぃくん!」
いくら下に水着を着ているとはいえ、ひぃくんに脱がされるなんて恥ずかしい。
それもそうだし……
こんな子供用プールになんて入りたくない!
庭でジタバタと揉み合う私達。
「ーー何やってんの?」
その声に振り向くと、コンビニから帰ってきたのであろうお兄ちゃんの姿が。
手にはビニール袋を持っている。
ひぃくんに脱がされかけている私と、庭に置かれた子供用プールを交互に見たお兄ちゃん。
状況を理解したのか、一瞬でドン引いた顔を見せる。
「おっ、お兄ちゃん! ……助けてっ!」
ドン引くお兄ちゃんに助けを求める。
「私本当は海に行きたいのにっ!」
「海はダメだよ、花音。裸で人前に出ちゃダメ」
「裸じゃないもんっ! 海に行きたい!」
私達のやり取りを黙って見つめるお兄ちゃん。
黙ってないで何とか言ってよ!
お願い、私を助けてっ!
「だから、プールならいいよって言ったでしょ?」
ニッコリ微笑むひぃくん。
私は青ざめた顔でひぃくんを見ると、目を見開いて言い放った。
「……こんなのプールじゃないよっ!」
本気でこれがプールだと主張するの?
ドン引きだよ、ひぃくん……。
「プールだよ、ねぇ?」
ひぃくんはそう言ってお兄ちゃんの方へと視線を向ける。
ピクリと肩を揺らしたお兄ちゃんは、一瞬目を泳がせると口を開いた。
「……花音、これはプールだよ」
ーーー?!
嘘だっ!
今お兄ちゃんの目、泳いでたし!
何でひぃくんの味方するの……?!
引きつった顔をするお兄ちゃんを見つめ、私は大声で叫んだ。
「お兄ちゃんの嘘つきーー!!!」
