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愛がはじまるとき

第1章 愛がはじまるとき

         8

 その日から、わたしは、彼のことは忘れました。
 そして、わたしの心のなかに、満さんが住みだしました。
 あの晩の、満さんの優しさが、ほんとにほんとに嬉しかったのです。
 だから、思わず、泣いてしまったのです。
 満さんのことを思うと、胸が熱くなります。
 あの優しさを、もう一度味わいたいなぁと、なにかにつけて思っているわたしがいます。
 わたしは、優しさに、飢えていたんだと思います。
 そして、いままでのわたしなら考えられませんが、自分から電話して、
 「こんど
  泊まりにいって
  いいですか?」
 と、言ってしまいました。
 満さんは、
 「もちろん
  いいですよ
  大歓迎です
  こんどは
  ゆっくり
  私といることを
  楽しんでください」
 と、言ってくれました。
 わたしは、満さんなら、優しいセックスをしてくれるだろうなと思い、それで泊まりたいと満さんに言ったのですが、あとで恥ずかしくなりました。
 満さんの家に早く泊まりにいきたいと思っていたのですが、わたしの、安全日と休日前という条件がなかなか合わず、2週間後の金曜日の夜になってしまいました。
 わたしが、毎日電話をして話したときも、満さんは、催促はしませんでしたが、明日行きますと言いましたら、
 「待っていたんですよ
  きょうか
  明日かと
  毎日
  待っていました」
 と言って、ほんとに喜んでくれました。

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