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一夫多妻な三姉妹

第9章 不安

姉がみんなを自分の部屋に集めた。

姉の部屋は、私と妹、そしてリョウから送られた、妊娠と出産に関係するプレゼントで溢れている。

そこはまさに「幸福の空間」だ。

「ねえ、どうする?あと何ヶ月かで子供出てきちゃうし、戸籍のこととか…」

そう、いくらこの4人の関係が閉鎖空間の中で繰り広げられているとはいえ、私達はこの日本という社会で生活する社会人だ。

猫や犬のように子供だけを作る訳にはいかない。

これから生まれてくる子供には「戸籍上の父親」が必要なのだ。

そして問題はそれだけではない。

この3姉妹にはリョウに対して公平であり、そしてこれからおそらく私も奈々も妊娠することになるだろう。


そうなったときの、私と奈々の子供の社会的、戸籍的な位置づけに問題が出てくる。

姉はこう言った。

「この中の誰かがリョウと婚姻関係になるのが自然だと思う。今のままの生活は続けるためにも。これからさやみも奈々も妊娠するだろうから、そのとき戸籍をどう振り分けるか…」

私は即座に答えた。

「お姉ちゃんがリョウと籍入れて、私と奈々の子供は『認知』でいいんじゃない?お姉ちゃんが第一婦人の《一夫多妻》ということで…」

《一夫多妻》の言葉に姉も妹も爆笑した。

奈々はキラキラした口調で「それでいいじゃん!お姉ちゃんが籍入れなよ!!」と叫ぶ。

「じゃあ、それで決定!!」と手打ちになったが、面白いことに3姉妹ともリョウに同意を求めることはなかった。

「夫婦」というきらびやかな称号を手にした姉は、リョウに抱きついて「ダ~リン!」と冗談を言い、リョウも笑顔で応えてキスをした。

次の日姉は、私と妹のために、大量の妊娠検査キットをプレゼントしてくれた。

その顔は母親のように柔和で、愛情に溢れたものだった。

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