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Melting Sweet

第5章 Act.5

「私も杉本君とおんなじ。美味しければどんなお酒でもいけるわよ」

「もしかしてザルですか?」

「多分。周りにはよく言われるから」

「ああ、考えてみれば、唐沢さんが潰れてる姿って見たことないですね。最初は飲む量を控えているのかと思ってましたけど」

「まあ、職場の飲み会ではある程度は控えてるわよ。けど、友達と飲む時は結構な量を飲んでるかもね。気付くと周りは完全に潰れてて、私だけケロッとして飲み続けてた、ってことはよくあったし」

「へえ、ほんとにザルなんですねえ」

 感心しているのか、呆れているのか、杉本君は私の酒の強さに驚いている様子だ。

「――ドン引きした……?」

 恐る恐る訊ねると、杉本君は、「全然」とサラリと言ってのけた。

「むしろ、かっこいいと思いますよ。酒に弱い女性の方が可愛い、って思ってる男が多いでしょうけど、俺はまるっきり逆ですから。でも、弱いのに無理して飲まれるのもぶっちゃけ迷惑かな。あとは酒の力を借りて男に媚びる女性も苦手ですね。
 女性に限りませんが、自分を包み隠さず、ありのままの姿でいるのが一番綺麗で輝いて見えますよ。唐沢さんなんてまさにそうでしょ? 自分に正直で真っ直ぐで、他人に振り回されることもなくて」

 こっちが赤面したくなるほど、ずいぶんと私をベタ褒めしてくれる。
 ありがたいのだけど、それ以上に、どう対応していいのか戸惑ってしまう。
 褒められるよりも貶される方がまだ耐えられると思ってしまう辺り、我ながら性格が歪んでいると哀しくなってくる。

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