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テレフォン -約束-

第7章 極彩色の万華鏡




既に遠距離恋愛になったかのように愛情が失調しているアナタのココロ…
アタシは惜しむように繋いでいる手を離してアナタと向き合いました


「まー君、ずっと、大事にしてくれるんでしょ?約束してくれたこと忘れないからね」


「結婚はアタシにも考える時間を頂戴」


「・・・・ね?」




・・・・そんな2人にも

進む秒針の1秒は正確で

泣き沈むアタシを抱き起こし



・・・・搭乗口へ

進む歩幅の1歩は貧弱で

活路を見いだした歩みに程遠く


・・・・握りしめたチケット

進む縦列の1人は孤独で

色褪せた赤い糸では手繰り寄せるほどのチカラもなくて



・・・・その先の

進む未来の1日は雲泥で

輝かしい光は決して見えなくて、少しだけ、背中にシワがついたジャケットをもう、直してあげられないと思うと涙がこぼれて



「・・・・まー君」

小さく呟いていたら

「・・・・ごめんなさい」

小さく呟いていたら










まー君の背中が見えなくなりました


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