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ひな*恋 ~それは、誰にも言えない秘密の三角関係

第1章 オトナだけど、どうせヒナなんです!

「ほらよ」


「え…?」



男の子は私に差したままの傘をグイッと向けてきた。


え、それって私に……?



「そんな目で見られながら帰っても、明日朝寝覚めが悪くなるだろー?」


「でもっ、そんな事したらキミが…っ」


「俺ん家はここから近いから、ちょっとくらい濡れても平気だよ。
そ れ に…」



男の子は私の胸元に目線を移しながら、押し付けるように傘を持たせた。



「そのおっぱいに張り付いたTシャツ。男には魅惑的過ぎて困るんだけど?」


「っ!!?////」



ギュッと傘の柄を握り締めたまま、私は両手で胸元を覆うように自分を抱き締めた。


言われた通り、濡れたTシャツが私の身体に張り付いている。



「そ そんなトコ見てたなんてぇ!///」



真っ赤になって文句を言ったけれど、男の子はケラケラ笑って雨の中を歩いて行った。





「…って。
私だって、ここから家近いもん…っ」




大雨のせいでどんどん濡れていく男の子の背を、私はずっとビミョーな気持ちのまま見送っていた。





あ…

知らない男の子から、傘を借りてしまったんだ。


名前ぐらい、訊いときゃよかったかな────…




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