
兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第12章 血液はいつかの鉄棒の味がする
悠side
『大切な人ともっと近くに
dakama 新料金プラン 始まる』
日曜日、珍しくも兄弟3人揃って先月近くに出来たパン屋さんの食パンで作ったサンドイッチを頬張るブランチ。
なんとなく付けていたテレビ画面に流れた映像に、3人とも硬直した。
ヤバイ。
そっと手にあるサンドイッチをお皿に置いて、椅子から離れよう。早くここから逃げなくちゃ…!
「兄さん、さっきのCMなんか見た事ある人が写ってなかった?え、オレの見間違い?」
「やっぱり鶫も思った?俺もなんか最後の声すっごい聞いたことあるなぁって」
もぐもぐ、もぐもぐ、ん、もぐ…?
そんな感じで兄たちの口の動きが止まって。
鶫くんと目が合った。
「悠?どこ行こうとしてるの?」
目が笑ってなかった_____☆
***
「で?」
とりあえずご飯を食べて食器を片付けたら、と言われ誰も喋らず食事が終わった。
なんで、なんでこんなに鶫くんが怒ってるの?
テーブルの向かい側で腕を組み、笑っている鶫くん。それは貼り付けたような笑顔に、額に青筋が見えるような静かな怒り。
「本当にあのCMに出てるのが悠?」
その隣では鶫くんと違ってキラキラした興味と、本当に楽しそうに嬉しそうに笑って問いて来る智にぃ。対比がすごい…!!
「う、うん…あれ、俺です…」
「すごい!悠すごいなぁ、兄ちゃん弟がCMに出てるなんて自慢しちゃうよ?」
「う、ありがとう…だけど智にぃ今はちょっと黙っててくれる・・・?」
うちの次男が怒るなんて4年に1度くらいの頻度だからね?
「悠」
「ひゃいっ…」
怒鳴られる?それともまさか叩かれる?
そう思ってグッとくちびるを噛み締めた。
「・・・なんで、言ってくれなかったの?」
「え…」
それは本当に弱々しい、今にも泣きそうな声。
鶫くんは怒ってるんじゃなかったの?
「寂しいよ、言ってくれなきゃ。でも、仕事って言えば良い訳でもないんだからね。…残されるこっちは毎日寂し、く…て」
ハッとして鶫くんの口が止まる。そっか、違う。鶫くんは母さんと俺を重ねたのか。今の鶫くんの言葉も、感情も全部俺じゃなくて母さんに言いたかったことだろう。
「ごめん…」
俯いてしまった鶫くんに、俺も智にぃもかける言葉を見つけられないでいた。
