
兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第11章 夜のお相手は指名制
鶫side
兄さんの腕から逃れて駅までの道を急ぐ。
「お相手したかったなぁ・・・」
『お相手』なんてやけに丁寧に言っているのは、その時間がオレもハルルも嫌がりながらも好きな時間だからで。
今日指名が入るのを分かっていたら、テスト前のお泊まり会には行かなかったのに!
だけどやっぱり仲の良い友達にドキャンするのは流石に気が引けて、家を出て来た。
今頃兄さんはあの無防備でふわっふわな喋り方で、ハルルと2人の時間を楽しんでいるんだろう、そう思ったら余計1人で歩く夜道が寂しく感じる。
「あーあ!オレも酔っ払い兄さんに褒められたり、ぎゅーってされるご褒美イベントに参加したかったよぉっ」
しかも兄さんは酔ってからの記憶は全て忘れてしまうタイプらしく、その間は実質何をしても何を言っても後に響かないということなのだ。
だからいつも、ここだけの話。
オレが兄さんの晩酌のお相手をする時には、沢山褒めてもらってデロデロに甘やかしてもらっているのだ。
昔はもっと素直に言えてたことも、2人とも成長すると少し言い難くなっていたりするから。
あの時間だけは、本当のことしか言わないって決めてる。普段も兄さんに嘘をつくようなことはしたくないけど、誰でも触れられたくない心の柔らかい場所はあるからね。
次こそは。
オレが兄さんのお相手になりたい。
だから今日は、
「ちゃんと試験勉強しよ…」
可愛い、たった1人の弟にあの場所は譲りましょう。
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