
兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第6章 愛を知らない長男は
悠side
「兄さんが変…?」
「そう、いつもボーッとしてるし悩み事?とか作品練ってるの?とか聞いてもガン無視だよ。絶対おかしい」
稲荷寿司を作った日から1週間。
ここんとこ、智にぃは本当におかしいのだ。
それを鶫くんに言うと、キョトンとされてしまった。
「え、一緒にいて分かんない?」
「ん〜だってさ、ボーッとしてるのも話聞いてないのも日常茶飯事じゃん?」
「そりゃまぁ、そうだけど。でも何かが違うんだよっこう、いつもの智にぃの感じがないっていうか・・・」
ここが違うって明言出来ることは何もないんだけど、長年兄弟やって来た勘とでも言うのだろうか。
何かが違う。
「でもさ、ハルル?そんなこと言ったってどうしようもないじゃん。変だから戻って〜って言ったところで戻れるものでもなさそうだよ、それ」
「う〜ん・・・確かにそうなんだけど、」
「まぁまぁ、ここは鶫くんにどーんっと任せなさい!チョイチョイっと兄さんを元通りにしてあげるからさ」
"だから悠は何にも心配しないで、待ってて"
それだけを言い残して鶫くんはリビングから出て行ってしまった。
広いところでひとりぼっち。
久しぶりだな、だってこの家の中に居れば1人になることなんてそうそうないから。
1人って、寂しいな・・・。
