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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第3章 杉並実果留 



 止めていた息が続かなくなって、武から顔を離した。


「…………」


 しちゃった……武にキス……しちゃっ……た……。


 キャーーーーッ!!


 床に倒れ込んで、ゴロゴロと左右に転がってもがいた。


 うわぁ! どうしよーー! 自分からしたくせに、死ぬほど恥ずかしいーー!


 それに、武の唇……柔らかかった……。


「っ!」


 キャーーーーッ!!


 一瞬止まってから、またゴロゴロと転がりだした。




「……んがあぁ!」

「いっ!」


 今の声を聞いて、ゴロゴロをピタッと止めた。


 な、何!? 今の武!?

 まさか……起きちゃった!?

 キスしたの、バレた!?


 私はハラハラドキドキしながらそうっと起き上がり、ベッドの上を覗いてみたら、


「……んーー……うまいっ……んぐんぐ……」

「………………は?」


 寝てた。

 しかも『うまい』って言って、口をモゴモゴさせてる。


 ……ぷーーーーっ!

 やだもーうっ、ビックリしたじゃん!

 きっと武、夢で何かを食べてるんだ。もう、おかしすぎるー。


 そんな武が、やっぱり好きだなぁー。



「武……好きだよ」


 私が武のそばでささやくと――


「……ん……俺も、すきだ……」

「えっ!? っ、とっ……」


 やばっ! 大きな声だしちゃった!

 だって今……武が『俺も、すきだ』って――


「……マシュマロ……」

「……は?」

「俺も……マシュマロ好きだぁー……」

「……はぁあーー?」


 なんだぁーマシュマロかぁー……ドキドキして損したよー。

 気が抜けて、床にヘナヘナと座り込んだ。

 武も、私のことを『好きだ』って言ってくれたのかと思っちゃった。

 でも……私が告白したら、今のマシュマロみたいに『俺も好きだ』って言ってくれるといいなー。


 そう考えただけでニヤニヤしちゃう。んふふっ。


 武が起きるまで寝顔見てよーっと。


 武、大好き。



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