
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第6章 佐倉武・最終話
「武は私のこと……好きじゃないのかと思ってた。途中、背を伸ばしたいとか言い出して、双子から離れようとしたりしてたから……」
「そ、それは……お前に、男として『好きだ』って思ってほしかったんだよ。いつまでも双子じゃ、男としてみられないんじゃないかと思ってな」
「……そう、だったの?」
実果留は、腕の力を緩めてから少し離れると、俺と顔を合わせた。
『好き』と言われてからやっと見れた実果留の表情は、見るからに恋する女のコで、可愛すぎて……
押し倒してしまいたいと思わせる。
それでも、治りかけの理性で俺は必死に耐えた。
「そんなことしなくても、私はその時すでに、武のこと好きだったのに……」
「実果留。いつから俺を?」
「小5。武、覚えてる?
背のことで男子にいじめられて落ち込んでた私に、武はすごい宝物みたいなことを言ってくれたんだよ?
『実果留は十分女の子』
『実果留の顔が近くで見れるから楽』って……。
それで私、初めて武を『好きだ』って思えたんだよ」
「あ……あれでか?」
そうだったのか。
俺は気づかないところで、実果留を振り向かせていたのか。
