明日への扉 ~~ 伝えたい気持ち
第5章 バイト先・其の弍 ”フードエキスプレス”にて
「―― いらっしゃいませぇ」
「やぁ、ユーリちゃん。今日も精が出るね」
「こんばんは、各務さん。空いているお席へどうぞ」
平日の夕方から閉店までという勤務シフトで
悠里がアルバイトをしているって知ったから。
ドリップコーヒー+彼女との他愛のない話しが
ちょっとした息抜きと癒やしになったのだが、
今日も店内は大盛況で悠里は柊二のすぐ後に
入ってきたお客の対応に行ってしまった。
だけど、何となく様子が可怪しい……。
「なぁにその顔は? せっかく来てあげたのに」
「愛実 ……」
「ちょっとさ、何ボ~っとしてんの? 私一応お客
なんだけど」
「す ―― すいません。こちらへどうぞ」
2人掛けのテーブル席に案内した。
小声で問いかける。
「急にどうしたの?」
「その質問の主旨は?」
「新しいドラマの主演が決まったって聞いたけど、
仕事、忙しいんじゃないの?」
「たった1人の妹が貴重な休日潰して会いに来て
あげたのに、そこまで迷惑そうにしなくても」
「べ、別にそんなつもりじゃ……」
「ま、いいや、注文はオムライスね。アフターで
アイスティーと小倉抹茶パフェもお願い」
「畏まりました」
今日は昼過ぎから突然雷雨に見舞われ、
いつもの観光客達に加え雨宿りのお客さんも
大挙してやって来た。
それに、この時間帯はフロアチーフの左門さんを
入れた5人体制で切り盛りしているのに、
頼みの琉奈とバイト1名が季節外れのインフルで
ダウンし。
もう、盆と正月が一緒に来たくらいの忙しさ
なんだ。
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