突然の出逢い ( N×M )
第3章 lily .
M side
「智来てたんだ、連絡してよ~」
マンションに戻るとひとり暮らしの1室の明かり。
「んー、いつものことじゃん
ビールもらったぁ」
「そうだけど...
俺は万が一で合鍵を渡しただけだよ?」
「1人より2人のほうが楽しいじゃん」
もう何言っても意味ない...
たまにこうやってやってくる智。
特に用事もなく。
彼氏彼女かよって、
「明日も夜帰り?」
「うん、クラブ寄るから。」
「ふ~ん、ラブラブだねぇ」
「何?バカにしてる?(笑)」
「いーや、潤が幸せならいいや」
「?うん...」
なんでそんな切ない顔をするのか。
「そういや、かずくんね
今日何かおかしかったんだよね、」
「おかしい?」
「かずくんだけどかずくんじゃない...みたいな。呼びかけても反応なかったし。疲れてたのかな、」
「......冷めたんじゃない?きっと。」
急に何(笑)
智のほうが冷めた目してるよ、
「何言ってんの(笑)
そんなこと...」
「俺は二宮さんと潤は合わない気がする。だから応援は出来ないな。」
「本気で言ってる...?」
智の家に転がりこんで色々聞いてくれたのは
嘘だったのか。
「うん。
ごめんね?好きだから...取られたくないんだよ。」
捨て台詞のように言い放って玄関に向かう。
「え、待って、智!それって…」
「じゃあ、また明日。」
1度も足を止めず1人部屋に残される。
「もう訳わかんない...」
本音が言葉として素直にこぼれる。
外は雨。
頬に伝う涙。
この涙は何の涙なのか。
誰を思ってのものなのか。
ただただ流れていくのを感じるしかなかった。
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