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土壇場の恋・あなたならどうする?

第2章 序章 ―― きっかけ


 晴彦は母方の従兄弟。

 年は確か、俺より4才上だったハズ。

 高校中退で定職にも就いていない、
 親のすねをかじってるプー太郎。
  
 だけど不思議なことに、
 俺みたいに切羽詰まったようすは
 全く見受けられない。

 それどころか、アルマーニのスーツをまとい
 ピュアゴールドの装飾品で着飾った晴彦は
 外見だけはいっぱしのビジネスエリートに見える。


「―― 池田がさ当分の間来られねぇから、
 メンツが1人足らねぇんだよ」

「池田って確か……**テレビのプロデューサー?」

「あぁ」


 晴彦はまともな仕事になんか就いた事ないくせに、
 芸能業界方面の人脈が結構広い。

 ずっと前に1度、絶賛売出し中のグラドルや
 A*B4*の末端メンバー達も多数参加するという
 お見合いパーティーに出ろと言われた事があるが、
 間の悪い俺はそのパーティーの前日から
 インフルでダウンして行く事が出来なかった。


「悪いけど他当たって? 
 今日は手持ちもあんまりないし」

「お前の金欠は今始まった事でもねぇだろー」


 そう言って晴彦は、閉店作業を続ける俺の真後ろに
 立った。


「負け分はいつも通りお前のココで払ってくれりゃあ
 いいからさ」

「……」

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