土壇場の恋・あなたならどうする?
第5章 真守と竜二 ②
隅田川沿いの遊歩道をそぞろ歩き、
軽く腹ごなしをした後は ――、
今日のスーツに似合ったオシャレなホテルの
展望ラウンジへ。
窓際のテーブルは半数がカップル用ペアシートで。
テーブルを挟んで椅子があるんではなく。
テーブルは窓辺にくっつくよう設置されていて、
椅子はそのテーブルと平行に並んでいた。
竜二は常連らしく ”ご予約席”と札の乗った
テーブルに竜二と俺は案内された。
あ、まぁ―― ここからの眺望は最高だけど、
男同士でこうゆうテーブルに着くのは
かなり恥ずかしい……それに。
「俺はまだ未成年」
「気分楽しむくらいなら構わないだろ~」
って、竜二は言ったけど。
運ばれてきた飲み物はどう見てもカクテルっぽい。
”乾杯”と、俺のグラスにカチリと自分のグラスを
軽く合わせ、ひと口飲んだ竜二はそんな仕草も
すっごくキマっていて、
何故だかちょっとムカついた。
で、腹立ち紛れに飲んだ俺のオレンジ色の
飲み物は ――ひと口飲んだ途端、
喉に焼け付く刺激が走って、咳き込む。
ゲホッ ゲホ ゲホ ……
「な、なんだよ、コレ……」
「何? って、ただのジュースだろ」
「良く言う」
それは紛れもないカクテルだった。
それもアルコール度のかなり高いテキーラを
使ったホテルオリジナルのモノ。
「なら、俺のもちょっと味見させてやる」
と言って、本日2回めの口付けをされた。
しかも今のは半ば強引に唇を割られ、
そこから彼が含んでいたカクテルが
流れ込んできて。
カァァァ――ッと一気に顔が火照り、
心拍数も急上昇。
彼の唇が離れていった後もしばらく俺は
惚けた表情のままだった。
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