俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「いっ……いいの?」
「いいって。ほら」
「…………」
俊光君の、腕……。
これって組んだりしたら――恋人同士みたいじゃない?
なんて考えになっちゃったら……ちょっとだけ、胸がドキンと鳴ったのがわかった。
「……どうした?」
「へ? う、ううんっ、なんでもないっ!」
ま、まぁ……俊光君もいいって言ってるんだから、遠慮なく容赦なく甘えちゃってもいいよね。
私は思いっきって、俊光君の腕に抱きつくようにギュッと絡んだ。
あ……なんか、すごくしっくりくる。
俊光君の温もりって、安心出来て心地いいなぁ……
「なっ、菜子っ! お前、違うって!」
「っ……へぇ?」
まるで夢みたいに、ふわふわした気持ちになっていたら、俊光君がなんか焦って言ってきた。
「あのなぁっ。『腕』じゃなくて、
『手』だよ、手っ!」
「…………えぇーー!?」
そ、そうだったのぉ!?
私てっきり、『腕を組め』って意味かと思ったよぉー!
あとから訂正されても、一回組んじゃったら人混みもあって、離れるに離れられないってー。
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