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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生


「お父様が篠宮くんをかばってくれたって聞いたよ。かばってなかったら篠宮くんがいなくなってたって…私…篠宮くんのお父さんにお礼がいいたい。篠宮くんを助けてくれてありがとうって」

私の言葉を聞いて、則ちゃんは目を大きく見開き驚いた顔をしていた。
どうして驚いたのかなんてその時は分からなかった。
後から教えてもらったことだけど、則ちゃんはお父さんが自分をかばって亡くなったことに責任をかんじていて、私の言葉でお父さんの命を犠牲にしてまで生きていてよかったと罪悪感が薄れていったと教えてくれた。
それから私たちは則ちゃんと一緒に遊ぶようになった。
一緒にお見舞いに行った子達とも仲良くなって、卒業するまでずっと一緒だった。
中学生になっても高校生になってもそれは続くと思っていた。
だけど現実は違って、それぞれが自分の道を歩みバラバラになってしまった。
そんな事を思いながら則ちゃんの部屋に足を踏み入れると、あっという間にあの頃に戻ったような気がする。

「変わってないね…」

それほどまでに則ちゃんの部屋はあの時と何も変わらない。
変わったのは私たちの関係だけ…

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