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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生

玄関先で遠い日を思いだしながら佇んでいると、中から階段を駆け下りてくる足音が聞こえ勢い良くドアが開いた。
その扉の向こうには則ちゃんが驚いた顔をして、でも笑顔で迎えてくれてホッとした。

「びっくりしたぁ…窓からお前見えて驚いた」

久しぶりに見る則ちゃんは少し痩せていて、それが逆に大人っぽく見えてドキドキして上手く笑えなかった。

「うん…様子をね…急にごめんね」

前みたいに笑顔で久しぶり!と言うと決めていたのに、余りにかっこ良くなっていたからドキドキして気の利いた言葉を返せなかった。

「いや…来てくれてうれしいよ。誰もいないけど…よかったら上がって」

則ちゃんはにっこりと笑ってうれしいと言ってくれた。
その言葉だけで、勇気を出して来てよかったと思う。

「おばさんは仕事?」

「仕事…俺を卒業させるまではって頑張ってる」

則ちゃんは少し寂しそうに笑った。

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