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take a breather

第3章 このままもっと

「翔…お前、もし智が家を出ていくってなったら、その後どうやって暮らしていくの?」

智くんが俺の元から居なくなる?

「そんなこと考えた事ないよ…」

「だったら考えろよ、智がいなくなった時のこと。
いつまでも智が傍にいると思うなよ?
智が結婚したら、お前は智の新居に居候するのか?」

「そんなことしないよ。
でもこの前、俺がもう恋人作らないって言ったら、智くんも作らないって言ってくれたから…」

潤は呆れ顔でまた溜め息を吐いた。

「なんなの?お前らふたりとも…」

そんな潤に代わってニノが言葉を続ける。

「翔ちゃん、なんでもう恋人作らないの?
フラれたことそんなに落ち込んでないんだよね?
だったらさ、また新しい恋したらいいんじゃないの?
俺たちまだ30才前だよ?この歳で恋人諦める必要ないんじゃないの?」

「諦めるとかそういうんじゃなくて
ただ、俺には智くんがいてくれるだけでいいと思ったから…」

「だからぁ!どうしてそう思うのか考えろって!」

「潤くん、落ち着いて」

イライラしてる潤をニノが宥めると、潤は肩から力を抜いた。

俺がちゃんと答えを出せないから、潤は怒ってるんだ。

ニノが俺を見て微笑む。

「翔ちゃん、なんで大野さんさえいればいいの?
翔ちゃんにとって大野さんてどういう存在?
この先大野さんが翔ちゃん以外の人と暮らしたいって言ったら

翔ちゃんはどう思う?」

ニノの問い掛ける声は優しくて…

俺の中で燻っていた問題の答えを、ひとつひとつ導き出してくれた。

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