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take a breather

第15章 二人の記念日

「翔、どうかした?」

「あっ、いえ…
俺、一生ここに住んでいいのかな、って思って」

「え?だってお前、不満ないんだろ?今の生活」

翔が恥ずかしそうに視線を伏せた

「はい…でも、『一生』って思ってなかったから…」

「へ?…あっ!」

そうか…一生ってことは生涯を共にするってことだもんな
男女で言えば結婚するのと同じ事

あまり深く考えて発言してなかったけど
俺、結構重いこと言っちゃってたんだ

「ごめん、勝手に決めて」

「えっ?」

「無意識に言っちゃってたけど
一生なんて重かったよな?」

「あ、いえ…重いなんて思ってません
嬉しい…とは思いましたけど」

「嬉しいの?」

「もちろん嬉しいですよ?
好きな人から一生一緒にいていいって言われたんですから
こんなに幸せなことないです」

確かに…翔の顔には幸せそうな微笑みが浮かんでる

「うん。そう言って貰えると俺も嬉しい」

「よかった…」

翔が呟き、俺の肩に頭を乗せ凭れかかってきた

珍しいな…
普段、自分からこんな風に甘えて来ることないのに

「昨日の智さん怖かったから…
智さんは怒ることがないと思ってて
その智さんを本気で怒らせちゃったから
もう嫌われたと思いました
どうしたら許して貰えるだろう…
許して貰えなかったらどうしよう、って
凄く不安で…
でも、ずっとここに居ていいって言って貰えて安心しました」

「本当にごめんな
俺も自分で驚いた…あんなに感情が抑えられなかったことなかったから」

「やっぱり俺のしたことって
それだけ悪かったってことですよね?」

翔の肩に腕を回し抱き寄せた

「ううん、違うよ…
それだけ俺が翔のこと愛してるってこと」

「智さん…」

キラキラと潤む瞳で見つめる翔にそっとキスをした

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