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take a breather

第3章 このままもっと

電車に乗って我が家の最寄り駅に着き、更に駅から歩いて数分。もう間もなく家に辿り着く。

その間ずっと考えていた。
智くんに恋人がいたことは俺の知る限り今まで一度もない。

ってことは、色々な経験もないってこと?
まさか、さっきの掠めただけのキスがファーストキスとか言わないよね?

あれだけのことで顔を真っ赤にするなんて…

この10年間一緒に暮らしてたのに、何もアクションしてこなかったのは、もしかして智くんは性欲が薄いとか?
エッチにはそんな興味ない?

俺だってそんなに興味ある訳じゃないけどさ、でも男だし?
それなりに性欲は持ち合わせてる。

それになによりも智くんに触れたいし、触れられたい。

智くん、あまりグイグイ来るタイプじゃないもんなぁ
俺がリードしないと先に進めないのかなぁ…

「翔くん、怒ってる?」

「え?どうして?」

「ずっと黙ってるから…さっき唇が触れたの怒ってるのかな、って」

「そんなことで怒らないよ…」

「そっか、なら良かった」

ほっとした表情を浮かべた智くん
あれくらいの接触で怒るなんて、中学生並の考えだよ。

やっぱり智くん、経験したことないのか

だったらもっとちゃんとしたかったな
あんなハプニング的な感じじゃなくて…

俺としても智くんとの初めてのキスだったわけだし

ん~、ちょっと後悔。

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